動く影絵のファンタジー
藤城清治先生の影絵劇を観てきました。
ちょうど足を悪くしている母とよろよろと天王洲アイルの銀河劇場まで。なかなかの遠足状態になってしまいましたが、行く価値は十二分にあったかと。
実は私は前情報を全然入れていず、普通に影絵を映画にしたものを上映するのかなー? と思っていました。その割にはチケットたけえぜ……とか。でも6,800円は妥当すぎでしたよ。言ってしまえば生ライブ影絵劇。幕の後ろでは40人以上のスタッフの方が走り回っていたようです。上映作品は「銀河鉄道の夜」「海に落ちたピアノ」「愛よみがえる地球」。間に歌とトークショーが入って3時間以上の舞台でした。
影絵って不思議ですね。不思議で引き込まれる。今まで止まっている絵としての先生の影絵しかみたことがなかったから、生き生き動いている影たちをみたら脳みそのどこかをぽーんと叩かれたような衝撃を覚えました。言葉にすれば「ほえええええええ」と間抜けな感じになりますが。これは実際に観て感じてもらいたいです。
光を動かすことによって影が自由自在に姿を変える。元は1つなのに縦に伸びたり横に伸びたり小さくなったり大きく迫ってきたり。そういえば太陽を背に背負って自分の影を見て遊んでいたっけなあ、なんてことも思い出しました。
そして、色使いがまた幻想的で見惚れます。こういう色の感覚ってやっぱり天恵みたいなものなのかなあ。先生は御年84歳だそうですけど、これからも元気に活動されていってほしいです。
今回一番印象的に残ったのは「海に落ちたピアノ」。これはまんま海に落ちてしまったグランドピアノの話で、セリフや解説は1つもなく音楽だけで進むものなんだけど、海の中で音楽を奏でるピアノがすごく楽しそうで楽しそうで。最後は嵐の中でピアノは壊れてしまうけれど、それでもずっと音楽を歌い続けていて、見終わったあとなんだか微笑んでしまいました。
それと「銀河鉄道の夜」は展開を知っていてもやっぱりちょっと泣いてしまいました。ジョバンニのように人のために死にたいとまでは言えませんけど、人のためにできることが少しでもあれば幸せですね。
それからジョバンニの横顔をずっとみてて思ったことは、変な言い方だけど妙な色気があるなあということ。真っ黒い影でできた横顔なのにね。前々から先生の描く横顔は綺麗だなあと思っていたけれど、目を伏せたり開いたりして影が息づくと途端に何とも言えない魅力があふれ出る。これは新しい発見でした。
今回の影絵劇は16日で終わってしまうけれど、先生の影絵の作品は全国の展覧会や常設展で、そして毎年9~10月頃に銀座の教文館で開催されているので、興味があれば行ってみてくださいね。
■オフィシャルサイト
それから2~3月のNHKのみんなのうたで流れている「HANA」という曲も要チェック。
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